不動産投資を始めようとする多くの人は、「収益物件」という単語を耳にしたことがあるのではないでしょうか。
この記事では、収益物件とはどんな物件を指すのか?収益物件を持つことによるメリットやリスクは何なのか?といった基本的な知識について、わかりやすく、しっかりと解説していきます。
収益物件とは?

収益物件とは、一定の家賃収入や賃貸収入を得ることで収益を生み出す物件のことを指します。
銀行に預金をしてもお金を増やすことができない上に、年金も将来しっかりともらえるかもわからないといった時代となりつつある近年、収益物件は大変注目されています。
また、収益物件には区分マンションをはじめ、貸し倉庫や賃貸オフィスといった物件も含まれます。
収益を上げることを目指して所有を行う収益物件ですが、保持するにあたって空室リスクや事故物件となってしまうなどのリスクも伴います。
リスクを顕在化させないために、ある程度の知識や情報を持ち、有効な打ち手を講じていく必要があります。
収益物件って儲かるの?
収益物件には、持っていることで得られる収入と生じる支出があります。
収入にも支出にも、それぞれ様々な種類があり、個々の収益物件がどのような収支を描くことができるのかは、物件によって大きく異なります。
物件の収入と支出、それぞれがどのくらいの金額になるのかをしっかりと調べて、どの程度の儲けを出すことができるのか確かめましょう。
それでは、収益物件に関わる収入と支出には、どんな種類があるのか1つずつ見ていきましょう。
収益物件を持つことで得られる収入
収益物件を持つことで物件のオーナーとして、家賃収入を得ることができます。しかし、収益物件を持つことで得られる収入はこれだけではありません。
収益物件を借りられる際に発生する礼金や、契約の更新の際に発生する更新料も、収入としてオーナーの手元に入ってくることになります。
基本的に、物件の契約は2年となっていることが多いので、2年おきに賃料の1ヶ月分程度の更新料を手にすることができます。

個人的には、更新料はボーナスのようなものだと捉えています。
収益物件を持つことで発生する支出
一方、収益物件を持つということで出て行くお金も発生します。
こちらは、物件を購入する際にかかる初期費用(イニシャルコスト)と物件を保持していると継続的に発生するランニングコストに分かれます。
支出の方は、種類が少し多いのでまとめて見ていきましょう。
■初期費用(イニシャルコスト)
<必須>
- 仲介手数料
- 契約時の印紙代
- 固定資産税・都市計画税の精算金
- 管理費・修繕積立金の清算金
- 登記に必要な費用
- 火災・地震保険料
- 不動産取得税
<ローンを組む場合に必要>
- ローンの契約における印紙代
- ローンを組むことによる事務手数料
■ランニングコスト
- 管理費
- 修繕積立金
- 管理手数料
- 修繕費
- 固定資産税・都市計画税
初期費用(イニシャルコスト)やランニングコストの詳細や目安の金額については、下記の記事で解説しています。
もう少し詳しく知りたい方は、確認してみてください。
【3分でわかる】不動産投資の諸費用、何にいくらかかるのか(イニシャルコスト編)
【3分でわかる】不動産投資の諸費用、何にいくらかかるのか(ランニングコスト編)
収益物件のメリットは?
収益物件を持つ目的として、一番に挙げられることといえば、もちろん家賃収入を得ることでしょう。しかし、収益物件では、家賃収入が得られること以外にも意外なメリットがいくつもあります。
ここからは、そんな収益物件を持っていることのメリットについて紹介していきます。
家賃収入を得ることができる

家賃収入は、最もオーソドックスなメリットです。
賃借人がいる限り、家賃収入は手元に入り続けることになるので、収益物件を持つことの最も大きな旨味ということができるでしょう。
また、家賃収入を継続的に手に入れるには、良い物件を手に入れ、空室対策をきちんとしておくことが非常に重要です。
失敗しない不動産投資を行うためには、こういったポイントをきちんと抑えるように心がけましょう。
自分のお金を使わずに資産を増せる
収益物件を購入するほとんどの人は、ローンを組んで物件を購入することになります。
毎月得られる家賃収入だけで、コツコツとローンの返済を行なったとしても、15年や20年後には完済することができます。
このように考えると、収益物件を購入して15年や20年後には、自己資金を使うことなく、収益物件という資産を手に入れることができるのです。
また、不動産投資を行う中では、途中で物件を売却して、その収益を得ることで利益を最大化できる場合もあります。

不動産投資には、成功の選択肢が複数あるので、自分に適したやり方でしっかりと収益を最大化することを実践していきましょう。
収益物件は税金対策にもなる

「税金対策にもなるから、収益物件を購入すべき」というようなアドバイスを聞いたことがある方も多いでしょう。これは一体どういうことでしょうか?
ここで、収益物件が税金対策になる理由を簡単に説明します。
収益物件を購入すると、通常であれば確定申告を行う必要のない会社員でも確定申告を行う必要が出てきます。
しかし、その確定申告の中で、物件そのものの購入費用などの初期費用や、管理費・修繕積立金などといったランニングコストなどのほとんどを、経費として計上することができます。
そのため、所得税の還付を受けることが可能となるケースが多く、人によっては毎年数十万円の還付を受け取ることができる人もいます。
こうして、収益物件を持っていることで、稼いだ額に対して何もせずに税金を支払っているよりも、支払う税金を少なくすることが可能になるのです。
収益物件は第二の年金?
先述しましたが、収益物件は賃借人がいる限り家賃収入が永久に入り続けます。それは、たとえ物件のオーナーが何歳になっても変わりません。
つまり、老後も収益物件を持っておくことで、毎月の収入が維持できるということになります。

近年では、収益物件のこうした性格を年金代わりとして考える人も多くなってきました。
日本では、年々少子高齢化が進行しており、2030年には3人に1人が高齢者となる世の中がやってきます。こうなると、年金の財源も危うくなってしまう可能性が大いにあると専門家の間では何年も前から議論されてきています。
つまり、20年、30年後となると、日本ではこれまでのように年金をもらって、それを収入源として生活を送ることは不可能となってしまうということが十分に考えられます。
こうした現状を考慮し、収益物件で得られる家賃収入を、老後の資金源の一つとしながら生活していくことも、選択肢の一つとして考える人が非常に増えてきているのです。
収益物件を持つリスクは?

上記では、収益物件を持つことによるメリットを紹介しましたが、残念ながら一定のリスクも伴います。
しかし、しっかりと対策を講じることで、リスクを顕在化させないようにできれば、メリットだけを享受し、不動産投資における成功者となることができます。
では、収益物件を持つことで発生するリスクを1つずつ見ていきましょう。
空室期間が続く
収益物件を手に入れたところで、入居者がいなければ家賃収入を手にすることも不可能です。空室リスクを防ぐためには、下記のような対策が考えられます。
- 購入時にオーナーチェンジ物件を購入する
- リノベーションを行う
- 礼金や敷金をゼロ円にする
- 家具家電付き物件にする
- インターネット料金を無料にする
空室リスクをできる限り抑えるためには、他の物件と差をつけて、物件を探している人の目に止まるような物件とすることが大切です。
例えば、「家具家電付き」や「インターネット無料」は、SUUMOやHOME’Sのような賃貸物件検索サイトの検索条件となっています。検索条件となるということは、その条件を含む物件を探している人が多く存在するということです。
しかしながら、これらの条件で検索をかけてみると、意外とヒットする物件は多くありません。これは、「家具家電付き」や「インターネット無料」といった物件がそこまで多くなく、競争率が高いということを意味しています。
つまり、このような条件で入居者を募集すると、すぐに入居者が決まる可能性が高いということです。
家賃の滞納が発生する
せっかく入居者がいても、家賃を納めてもらえなければ収益物件の意味がありません。多くの場合、契約で決まっている通りの家賃を納めてくれますが、ごくたまに家賃を滞納する入居者がいます。
家賃を滞納され、いつまでたっても納めてくれない場合、契約違反として遅延金などを契約に基づいて請求することができます。しかし、裁判に持ち込むのは非常に骨の折れる作業ですし、時間もお金も必要となってしまいます。
このような家賃滞納への対策としては、下記が考えられます。
- 家賃滞納に対する補償をしてくれる保険への加入
- 家賃の回収代行をしてくれる会社に物件の管理を任せる
少しでもランニングコストを抑えるために物件の管理を自らで行なっている場合、前者の方法が有効ですが、保険料というランニングコストが発生することになります。
一方、楽をしてリスクを抑えたい場合、家賃の回収代行を行ってくれる管理会社に物件の管理を任せるのが無難です。
物件の管理を管理会社に任せる場合、月額家賃の数パーセントがランニングコストとして発生することになりますが、こういった会社に任せていると家賃の回収もしっかりと行なってくれます。

管理会社の中にも、確実に家賃回収することを約束してくれない会社や滞納が発生した場合の保障をしてくれない会社もあります。
契約内容をしっかりと確認しましょう。
火災や自然災害に見舞われる

収益物件をせっかく購入しても、火災や自然災害で物件が大きな被害を受けた場合、修繕に大きな費用が必要となります。
火災や自然災害といったリスクが顕在化する可能性は大きくありませんが、近年では毎年のように自然災害が起きているので、決して侮ってはいけません。
こういったリスクへの対策としては、下記を実施しましょう。
- 火災や災害を補償してくれる保険に加入する
- 自然災害のリスクが少ない物件を購入する
火災保険に加入することは、いうまでもなく必要となります。
しかし、その他の自然災害のリスクをヘッジするためには、地震保険やその他の自然災害を補償してくれる保険への加入も検討した方が良いでしょう。
多くの自然災害は、火災保険のオプションなどでまかなえる可能性が高いので、各保険会社のメニューをしっかりと確認しましょう。
また、収益物件を購入する際に自然災害へのリスクもしっかりと確認しましょう。

物件検索を行うようなサイトや役所のホームページなどでは、自然災害に対するリスクをマッピング形式で示してくれていることもあります。
こういったサービスは、しっかりと活用しましょう。
事故物件になる
持っている収益物件が事故物件になってしまうリスクも、火災や自然災害と同様に顕在化の可能性はかなり小さいと言えます。
しかしながら、事故物件となってしまうと、下記のように収益物件の運営に大きな影響が出ます。
- 物件の修繕に大きな費用がかかる
- 入居者がつきにくくなる
- 家賃が相場よりも低くなる
事故物件のリスク対策には、他のリスクへの対策と同様に保険への加入が考えられます。近年では、各保険会社が事故物件対策を行うための様々な保険を取り揃えています。
しかし、全てのリスクへの対策を万全とすることは、コスト観点で考えると困難です。

それぞれのリスクに対する評価をしっかりと行い、対策を工夫することで、リスクを最小限に抑えながら、利益をしっかりと確保しましょう。
まとめ

ここまで、収益物件に関する基本的な知識や、収益物件を保持することによるメリットとリスクなどについて解説してきました。
収益物件を持つことによって享受できるメリットや、抱えてしまうリスクについてしっかりと理解することは、失敗しない不動産投資を行うためには非常に重要となります。
未来の資産を最大化させるために、良い収益物件を手に入れて旨味をしっかりと味わうことのできる不動産投資を実践していきましょう。
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