情報化社会となって久しい現代において、ITは私たちの生活に欠かせないものとなってきました。
働く中でも、一定のITに関する知識がなければ会社の戦力となり得ないことも少なくありません。
こうした環境のなかで、ITパスポートは自身のIT知識を証明できる国家資格として、近年注目を集めつつあります。
今回は、情報系資格の中でのITパスポートの位置づけや、取得の難易度を中心に解説をしていきます。
ITパスポートは情報系資格の入り口?
ITパスポートは情報系試験の中でも、入門的な立ち位置として扱われることが多い試験です。
例えば、ANAやサイバーエージェント、トヨタといった有名企業も、新入社員や内定者に対してITパスポートの取得を奨励しています。
このように企業がITパスポートに注目をしている理由は、ITパスポートがITに関する幅広い知識をその試験範囲としているがゆえに、「ITパスポートを取得している=社会人として身に着けておくべきITに関する知識が備わっている状態である」と判断ができるからです。
IPA試験のなかでも入門
ITパスポートは、IPA(情報処理推進機構)が主催する情報処理技術者試験という情報系国家資格のひとつです。
数多くある情報処理技術者試験には、それぞれ対象となる人や、レベルが設定されています。
IPAの公式サイト内で提示されている試験区分において、ITパスポートは「ITを利用する全ての社会人」を対象とした「ITを利活用するための共通的基礎知識」を問う試験という立ち位置に設定されています。
つまり、ITパスポートはITに関する基礎的な知識を問われる試験であり、誰でも合格を目指すことが可能な国家資格であると言えます。
受験資格がなく、誰でもチャレンジできる
国家資格は、一定の受験資格が必要となる場合があります。
例えば、以前紹介した社労士の資格を取得には、「大学や専門学校を卒業していること」や「所定の実務経験を積んでいること」などが受験のための前提条件となります。
しかし、ITパスポートにはこうした受験資格がないため、老若男女誰でも受験することが可能です。
極端に言えば、ITとは全く無縁な小学生などでも、この資格の取得にチャレンジすることが可能です。
試験は全て選択式で、試験時間は2時間
ITパスポートの試験は、2時間という制限時間の中で選択式の問題が100個出題されます。
また、合格点は6割と決まっているため、逆に考えると4割の問題を間違えても資格を取得することができます。
そのため、多少の苦手分野があっても、得意分野でしっかりと点数を取ることができれば問題ありません。
ITパスポートは誰でも合格できる!?
比較的、合格の難易度が高くないと言われるITパスポートですが、その難易度はどれほどのものなのでしょうか?
ここからは、合格率や合格者の年齢などについて見ていきましょう。
気になる合格率は?
気になるITパスポートの合格率は、受験する回によって多少の前後はあるものの、おおよそ50%程度となっています。
これは、中学生や高校生の時に取得を目指す人も多い英検3級や日商簿記3級とほぼ同じ合格率であり、資格試験のなかでは難易度が比較的に低いということが言えます。
下記のような資格試験の合格率を見ても、ITパスポートが難しくない試験だということが見て取れます。
資格 | 合格率 |
基本情報技術者試験 | 25%程度 |
応用情報技術者試験 | 20%程度 |
宅建士資格試験 | 15%程度 |
行政書士資格試験 | 10%程度 |
不動産鑑定士資格試験 | 5%程度 |
司法書士資格試験 | 3%程度 |
合格率は安定している
ITパスポートの試験では、出題される問題傾向や、その難易度も安定しているため、その合格率はかなり安定して推移しています。
実際に、合格率推移を見てみると、試験が開始されてから数年の間は合格率が乱降下することがあったものの、コンピュータによる試験が導入された平成26年あたりから概ね50%あたりで安定して推移しています。
合格率が安定しているということは、合格に必要な一定の基礎学力を身につけてしまえば、確実に資格取得が可能ということでもあります。
合格者の平均年齢は?
過去の統計を見てみると、合格者の平均年齢は28歳前後と受験者は、比較的に若い世代の人も多く資格を取得していることがわかります。
もう少し詳しく、合格者の年齢分布を見てみると、10代から50代までの各世代がほぼ均等に分布していることから、幅広い年代の人がITパスポートを受験し、合格していることがわかります。
ITパスポートという資格は、ITに関する知識が年齢に関係なく必要とされる時代となってきているいう背景を踏まえて作られたものであるため、受験資格もなく様々な人がその取得を目指せる試験となっているのです。
ITパスポートに合格するためにはどれくらいの勉強が必要?
ここまで、ITパスポートの難易度がそれほど高くないということを説明してきました。
それでは、その取得にはどのくらいの勉強時間や勉強量が必要なのでしょうか?
必要とされる勉強時間は?
ITパスポートに合格するための勉強時間は、一般的にITの知識がない場合は180時間程度、IT知識がある場合は100時間程度とされています。
パッと時間を言われてもピンとこないかもしれませんが、1日2、3時間程度コツコツ勉強すれば1、2ヶ月で合格を目指すことができます。
資格試験の中で人気とされている司法書士や公認会計士の資格取得には、3,000〜4,000時間程度の勉強が必要とされ、多くの人は合格までに2〜3年もの歳月を要します。
このことからも、ITパスポートがいかに少ない勉強で取得を目指せる資格であるかということがわかるでしょう。
必要とされる勉強量は?
ITパスポートの合格に必要な勉強量は、参考書1冊程度です。
その試験範囲は、非常に広範囲ですが、各分野においてそこまで深い知識を問われることはないため、200〜300ページのコンパクトな参考書1冊だけで合格に必要な知識を習得することが十分可能です。
試験の合格に万全を期すのであれば、過去問などの実戦形式の問題を用いた練習も積み重ねておくこともおすすめです。
また、独学で学習を進めることが難しいと感じる人には、映像コンテンツが充実しているオンライン学習サービスもおすすめです。
このようなサービスをうまく活用することで、ITに関する知識が皆無な人でも、ゼロから効率的に合格を目指すことができます。
まとめ
ここまで、ITパスポートの試験についての詳細や、合格率などについて解説してきました。
ITパスポートは、その試験方式や必要な勉強量から、非常にハードルの低い資格であると言えます。
これを読んで、少しでも興味が湧いた人は、これからの時代に必要となる資格であるITパスポートの資格取得を目指してみてはいかがでしょうか?
ITパスポートの勉強方法の詳細については、下記の記事でも詳しく説明します。気になる人は、ぜひ読んでみてください。
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